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チームの科学

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『勝ち続けるチーム』を科学

強いチームはなにが違うのか?」を調べた研究(1)について紹介です。

結果は、次の通りでした。

  • 良い選手が集まったほうが勝率は高くなるが、大きな差ではない
  • チームメンバー間で以前の関係と共有した経験は、個々の習慣、技術や能力の相互理解を向上させるため、チーム連携と戦略強化がされる
  • より勝率に関係していたのは「以前に勝利を共有したことがあるかどうか?」であった

つまり、チームメンバー間で以前に共有された成功により、個人の才能を超えて、チームが勝利する確率が大幅に向上することを示しています。

『チームの規模』を科学

シカゴ大学の研究(R)で、「チームは大きいほどいいのか?」について紹介。

結論としては次のようになります。

  • チームの人数が少なければ少ないほど、創造性が高いアイデアが出る!
  • 大きなチームは、既存のエビデンスを固めたり、発展させるのには向いている!

最高のチームを作るには「能動学習」の考え方が超大事

チームワーク向上法のメタ分析が出た

仕事でもスポーツでもチームワークが大事なのは間違いないところ。しかし、たんに「仲良くやれ!」と言ってもしょうがないわけで、具体的に組織をうまく回す方法についてガッツリ調べた研究(1)が出ておりました。

これはブリティッシュコロンビア大学の論文で、51件のチームワーク研究から8439人分のデータをまとめたもの。かなりいい感じのメタ分析になってて信頼度も高め。

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チームワークトレーニングの4タイプ

で、まず研究者は「チームワークを高めるトレーニング」を4パターンに分類しております。

  • 授業スタイル:メンバーを全員集めて、チームワークの大事さを具体例を出しつつ教師が解説
  • ワークショップスタイル:メンバーのディスカッションが主体。チームの目標やゴールなどについて語り合う
  • シミュレーションスタイル:実際の現場で必要なスキルをみんなでシミュレートしてみる
  • フィードバックスタイル:メンバーを2つのグループにわけて、互いの生産性を評価しあう

さらに、参加者たちの勤続年数などの要素を調整しつつ、すべての実験の生産性を評価したんですね。もちろん、すべての実験には、比較用のグループもついております。

どんな訓練でもやらないよりはまし

それで何がわかったかと言いますと、

  • どんなスタイルの方法でも、ある程度はチームワークを改善する効果がある
  • 実験室の研究だけでなく、ちゃんと現実世界での生産性も高まる
  • 一般的な企業はもちろん、ヘルスケア、スポーツ、軍隊、学会など、あらゆるタイプの組織に効果が確認された
  • チームワークのトレーニングは、新しい組織であるほど有効性が高くなる

って感じ。どんな方法でも効果はあるんだから、とりあえずチームワーク訓練はやっとけ!ってことですな。

ベストの訓練はシミュレーションスタイル

ただし、やはり訓練法の効果には差がありまして、

  • 授業スタイルの訓練は、他にくらべてかなり効果が低い!
  • もっとも生産性を上げるのはシミュレーションスタイル! 

って結論も出た模様。全体的に参加者がアクティブに取り組むほど効果が上がってまして、いわゆる「能動学習」が大事みたいっすね。

能動学習ってのは、その名の通り学習者が積極的にレクチャーに参加する方式のこと。能動的であればいいんで、ディスカッションでもライティングでもゲームでもシミュレーションでも何でもOKです。

今回の結果を見てると、なるたけ能動性が高いトレーニングを組み立てるのがよさげですな。このあたりは個人学習の場面でも同じかもですが。

仲が良いだけのチームは不要!成果がめちゃくちゃ高いチームは何が違うのか?を調べたメタ分析

個人よりもチームで働く方が大きな成果を出しやすいのは周知の事実。個人の時間にはどうしても限界があるんで、みんなで取り組んだ方がいいのは当たり前でしょう。

では、チームのメリットを活かすにはどうすればいいの?ってことで、「成果を出すグループは何が違うのか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。まずは研究チームの問題意識を紹介すると、

現代社会はより仮想的でグローバルな方に向かって発展を続けており、それにともなって職場のコミュニケーション法も変わっていく。この新しい状況下で、どうすればチームはより上のパフォーマンスを発揮できるのかを理解する必要がある。

みたいになってます。主筆のジェシカ・メスメル・マグナス博士は職場の人間関係に関する研究で有名な人で、過去の研究から考えると、

  • グループによる意思決定は、”うまくいけば“ほぼ常に個人の成果を上まわる
  • ただし、グループが効率的に動作するケースは非常に少なく、下手すりゃ個人の成果を下まわることもある

とのこと。実際はチームのメリットは計り知れないのに、たいていはうまく機能してないせいで、本来の良さを活かしきれてないんだ、と。確かにどの組織にもありそうな問題ですな。

そこでウィルミントン大学などのチームは約4,795のグループと17,279人以上の人々をふくむ72件の研究をピックアップ。うまく機能しているチームは何が違うのか?って問題を調べてくれてます。全体のデータの質はそこそこな感じですが、類似の研究がなかなかないのでよろしいんじゃないでしょうか。

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分析の結果、生産性が高いチームは何が違ったのかと言いますと、

  • みんなで新しい情報を交換し合う作業に時間を費やすチームほど、全体的に作業を達成する能力が高かった

ってのが最大のポイントになります。「自分が知らない情報をゲットしやすい」のはチームで働く大きなメリットなんで、ある意味で当然の結果だと言えましょう。

ただし、現実にはほとんどのチームが「他のメンバーがすでに知っている情報を議論することに時間を費やしていた」ってな傾向もあったそうで、実際にはみんな周知の話ばっかしてるらしい。もったいないことですなぁ。

もっともこれは自分でも覚えがある話で、会社員時代の会議なんかを思い出すと「お互いに共通するエピソードばっかしゃべってたなぁ」みたいな気もするわけです(雑誌の編集時に起きたトラブルとか)。これは一時的に会議を盛り上げる働きはあるんだけど、確かに最終的な成果にはつながらないんすよね。

実際、このメタ分析の結果では、

  • 会議中にメンバーがよりオープンに話していたグループは、お互いの関係性がとてもよかった
  • ただし、会話の量が多いグループは、実際には「使える情報」を共有する量が少なかった

という傾向が確認されてまして、「あーやっぱりなぁ」みたいな感じっすね。

研究チームいわく、

この結果が示唆しているのは、メンバー間での会話が多いからといって、有益な情報が共有されているわけではないということだ。むしろ、チームがどれだけ話しているかよりも、何について話しているかの方が重要だ。

とのこと。チームの会話量が多いのは良いことのように思えますが、実際にはただのムダ話で終わってるケースが非常に多いんだ、と。

では、生産性が高いチームはどのようなコミュニケーションを取っていたかと言いますと、

  • チームのディスカッションを構造化する(「今日はこの議題についてまず10分だけアイデアを出し合い、そのあとで10分で検討して……」みたいに対話のプロトコルを事前に決めておく)
  • 「みんなで合意に至りましょう!」ではなく、「ベストな答えを出すようにしようぜ!」って意識が全員のあいだで共有されている
  • とにかく全員が「この会話では『新しい情報』や『ユニークな情報』を伝えることを目指すぞ!」という意識を共有している

だったそうです。チームのメリットは新しい情報の共有にあるので、とにかくそこのポイントを満たすように行動しようぜ!ってことですね。まぁそりゃそうでしょうな。

チームは個人よりも情報面で優位に立っており、多様な個人的経験、文化的視点、専門分野、学歴などから豊富な情報が得られ、その情報をもとに、意思決定に必要なガイドラインを導き出すことができる。

ってことで、チームで働いてらっしゃる皆さまにおかれましては、「みんな仲が良いか?」よりも「斬新な情報は行き渡っているか?」ってポイントを気になされませ。どっとはらい。

社会に出て周りと協力できる人間は【アレに耐える能力】が高いらしい

周りと協力プレイできる人は不確実な未来への忍耐力があるらしい

これは2018年にポンペウフェブラ大学が発表した研究(#1)で、250名を対象に大きく3つの実験を行っています。

結論から言ってしまうと、答えは「不確実性(≒先の見えない未来)」でした。どういうことなのか?ここでは実験①を覗いてみましょう。

  • ギャンブルタスク:103名の大学生(平均28.1歳)を対象に、まず参加に対して10ドルが支払われて、その後追加でもらえるボーナスをめぐってギャンブルゲームをしてもらう。ここで各参加者の不確実性に対する耐性を見てから次のゲームに移る
  • パブリックタスク:次に他の参加者と一緒に協力するゲームを行った。このゲームは4人一組で一つの銀行のような場所を共有している。ラウンドごとに、各参加者は自分たちの銀行にドルを投資するか?するなら幾らか?を決める。で結果的に「投資された額×2」がチームに分配される。つまり一人の参加者が8ドル投資した場合、残りのただ乗り勢も皆4ドルはもらえるということ

実験①はザっとこんな流れでした。ギャンブルタスクでは、お金を増やせるかどうか?という確率の部分をいじって、参加者らがどのくらい不確実な未来に投資するか?をチェック。そしてチーム戦の協力プレイで、他人次第でどう転がるかわからない投資にどのくらい乗るか?をチェックしていったんですね。

こうした【不確実性への耐性と未来が曖昧な協力プレイへの貢献度の関係を調べる】といった趣旨の実験を3つ行った結果、こんなことがわかったようです。結果

  • 不確実性への耐性がある人ほど結果が分からない投資や相手への信頼によって、周りに協力をする傾向が見られた

つまり、不確実な未来に耐える力がある人ほど、先の見えない投資でチームに協力していた、ということです。

ただ面白いことに、2つ目の実験ではこんなことも分かっています。結果

  • 不確実性が後の協力行動に影響するのは、パートナーが信頼に値する人物だと思われていた時だけだった

つまり、そもそも「この人は信頼できそうだ」と思われていなければ、その後の結果が明確だろうがどうだろうが協力行動には結びつかなかったんですね。結局は信頼が大事みたい..この辺りは頷ける話で、協力すれば自分のメリットになる!と分かっていても、信用できない人物と一緒に組むのは..ちょっと…と気が引けますからね。

また面白いことに、3つ目の実験ではこんなことも分かっています。結果

  • 不確実性に耐える力がある人は、不確実性が大きい状況では協力行動をする傾向があったが、自由にパートナーの情報収集をしても良かった場合、この傾向は消えた

つまり、不確実に耐える力がある人は、不確実性がある程度解決されてしまうと協力行動に結びつかなかったということ。

例えばパブリックタスクで言えば、周りが投資をするか?するなら幾らぐらいか?といった曖昧だった部分がハッキリしてくると、状況によっては協力するかどうか考え直す基準になりますからね。

まとめ

では最後に今回の内容をまとめて見ていきます。ポイント

  • 不確実性に耐える力がある人ほど、先の見えない投資や周りへの信頼によってチームに協力する傾向が見られた
  • ただしそもそも「信用ならない」と思われた人に対しては、先が明確であろうが協力行動が起こりにくかった
  • パートナーやチームのメンバーに関する情報が多く集まって不確実性が薄まるほど、この傾向は見られなくなった

こんな感じでしょうか。先の分からない未来に対して努力できたり、何かを賭けられる人は、そんな状況でも周りと協力して動ける人なのかもしれません。

参考文献&引用

#1 Marc-Lluís Vives& Oriel FeldmanHall. Tolerance to ambiguous uncertainty predicts prosocial behavior. Nature Communications (2018) 9:2156.