人生を変える習慣化の科学
この記事の目次
習慣とは
自動的に行えるようになるまで、何度も繰り返した行動のことです。
習慣の最大の目的は、人生の問題をできるだけ少ないエネルギーと努力で解決することです。
習慣の持つ力
デューク大学の研究によると、なんと私たちの行動の約45%は習慣で成り立っているようです。
これは、人生の行動の半分がどんな習慣を行っているのかによって決まってくると言う事です
習慣形成の4つのステップ
行動変化の第1法則「はっきりさせる」
実行意図の公式 <いつ><どこで><何を>する
習慣化する行動を、<いつ><どこで><何を>するのか実行意図を具体化しましょう。
習慣の積み上げ公式 <現在の習慣>をしたら、<新しい習慣>をする
新しい習慣は、現在の習慣と組み合わせ、習慣の積み上げをしよう。
if-thenプランニング
ハルバートソンによると、「if-thenプランニング」は100件以上の研究で効果が立証された“効率アップ用のテクニック”で、ダイエットから感情コントロール、先送りの防止など、あらゆる場面で使える万能ぶりが魅力。
その方法は超簡単で、もしXが起きたらYをやるという形式で、前もってプランを立てておくだけ。実際に研究で使われた例を挙げますと、
月曜日、水曜日、金曜日がきたら、仕事の前に1時間ジムで汗を流す
みたいな感じ。このプランを立てた被験者の91%は数週間後もジムに通い続けたのに対し、何もしなかった場合にジムに通い続けた被験者は39%。なんでも人間の脳は、「XだったらY」という形の文章をもっとも記憶しやすいようにできてるんだそうな。
行動しやすいように環境づくりをする
新しい習慣を身につけようとするときには、その行動を「やりやすいようにすること」がまず大切です。
意志の力だけではなかなか継続できないものだからです。
ですから、習慣化したい行動がある場合は、可能な限り面倒な部分を省いて、「気がついたらやっていた」というくらいに手間を減らしたやり方ができないか、と、常に考えるようにするようにしましょう。
行動変化の第2法則「魅力的にする」
習慣の積み上げ公式と誘惑の抱き合わせで習慣を魅力的にする
- <現在の習慣>をしたら、<必要な習慣>をする
- <必要な習慣>をしたら、<したい習慣をする>
行動変化の第3法則「易しくする」
習慣づくりの超基本!「20秒ルール」
ご存じの方も多いのではないかと思われる「20秒ルール」です。
これはハーバード大学でポジティブ心理学講座を担当しているショーン・エイカーさんが「幸福優位7つの法則」の1つとして挙げているものです。簡単に説明してしまうと、新しいことを習慣化したいのであれば、その習慣を実行するまでにかかる時間を20秒早めること。
新しい習慣を始めるなら「2分間ルール」
習慣をできるだけ始めやすくするため、2分以内にできるような行動にするというのが「2分間ルール」です。どんな習慣でも2分以内に縮小することが可能です。これを継続していくことで最小習慣(アトミックハビッツ)が完成することになります。
「寝る前に読書をする」→「1ページ読む」
「ランニングをする」→「シューズの靴紐を結ぶ」
習慣の鎖(ハビットチェーン)をつくる
習慣の積み上げ公式を使い、最小習慣を現在の習慣と結び付けて、習慣の鎖(ハビットチェーン)を作り、鎖を断ち切らないようにする
行動変化の第4法則「満足できるものにする」
良い習慣を毎日続ける方法「習慣トラッカー」
「習慣トラッカー」とは、習慣を行ったかどうか記録することです。
「習慣トラッカー」は目に見える努力の証拠となるので、前進している感覚があるので継続するたびにやる気をあげることができる。
ある研究によると減量や禁煙、血圧を下げることを目標にして、その進捗状況を記録する人は、記録しない人よりも改善しやすいという。1600人以上を対象に行った調査では、毎日食事の記録をつけた人は、つけなかった人より2倍の体重を減量したそうだ。ただ行動を記録するという作業によって、行動を変えたいという気持ちを起こすことができる。
習慣記録の公式 <現在の習慣>をしたら<習慣を記録>する
身につけようとする習慣と記録の習慣の両方を強いることになるので、なるべく手間のかからない簡単な方法で記録を行うようにすると良い
目標を達成する記録の科学
記録
習慣化するまでの期間
根拠になっているのは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究。
習慣はいかに作られるのか?
How are habits formed: Modelling habit formation in the real world
学生たち96人に新しい習慣を1日1回づつ繰り返させたところ、習慣が身につくまでの平均時間は66日。最短で18日、最長で254日の開きがあったらしい。
というと、「でも21日より短い期間で習慣になる場合もあるじゃん!」といった反論が来そうですが、残念ながら18日間で身についたのは「朝一杯の水を飲む」ってな超簡単なものだったそうで。当然ながら、エクササイズとか勉強みたいな複雑な作業ほど、身につくまでの時間は長かった
最強の習慣化術は反復にある
プリンストン大学の論文(R)で、「習慣化に欠かせない最大の要素はこれだ!」みたいな内容になっております。
これはコンピューターで架空のマウスの動きをシミュレートした研究で、すごーくざっくり言うと、
- 生物は「報酬」に反応するのか?それとも「反復」に反応するのか?
シミュレーションの結果は、ズバリ「反復」の勝ちでした。デジタルマウスたちは、途中で報酬があたえられない状況になっても、ひたすらこれまでくり返した行動を続けたんだそうな。つまり本来の目的が失われたとしても、反復の勢いは失われたいってことっすね。
習慣化に必要な繰り返し頻度
実際にヒトを対象に「くり返しの重要性」を調べたデータ(R)が出てきましたんで、軽くまとめときます。
これはビクトリア大学の研究で、ジムに加入したばかりの男女111人を対象にしたもの。彼らを12週間ほど観察しまして、「ジム通いが続いたヒトと続かなかったヒトにはどんな違いがあるの?」ってポイントをチェックしたんですよ。
でもって、各自の年齢やら生活習慣といった要素を調整していったところ、なにがわかったかと言いますと、
- もっともジム通いの習慣化と相関していたのは「頻度」だった
だったそうです。1週間のうちにジムに行けば行くほど、12週間が過ぎた後もエクササイズが続く確率は高くなったらしい。なんだか当たり前の結論のようにも思えますが、「くり返しの回数を増やすほど習慣になる!」ってのがハッキリわかったのは良いことだと思うわけです。
さらに、この研究ではもうひとつおもしろい結論が出てまして、
- マジックナンバーは4だ!
というよい指標を示してくれております。どういうことかと言いますと、
- 週に4回以上ジムに行った人は、エクササイズが習慣になる可能性がはねあがる!
- 週に4回より少ない人は、エクササイズが習慣になる可能性がダダ下がる!
ってことです。もうちょい具体的に数値を紹介すると、
- どちらのグループも、6週間目までは同じように習慣化の確率が上がっていく
- が、ジム回数が週4回に満たないグループは、6週目を過ぎると12週間目にかけてベースラインにもどっていく(つまり、なにもエクササイズ習慣が身についてない状態にもどる)
だったわけです。6週目の罠を乗り越えるには最低でも週に4回はやってね!ということですな。
で、この実験から得られる教訓は大きく2つありまして、
- 教訓1:習慣化は最初はハードだが、時間がたつにつれて簡単になる
ってのがまずひとつめ。身につけたい習慣によって日数は大きく変わるんだけど、すごーくざっくり言えば、
- だいたい25日目まではそんなに習慣化しないが、平均で50〜60日も続ければ身につきやすくなる
ってのがガイドラインになります。やっぱなにかを習慣にしたいなら、最低でも8週間は続けたいとこっすね。
さらにもうひとつの教訓が、
- 教訓2:難しいタスクほど身につく速度は遅くなる
という実に当たり前の事実です。いちおうくわしい数値をあげておくと、
- ウォーキングの場合=だいたい25日前後で身につく
- 1日に腹筋を50回の場合=だいたい60日前後で身につく
という感じです。
目標を忘れて、仕組みに集中しよう!
成功する人としない人の違いは、目標ではなくそのプロセスとなる小さな改善の継続という仕組み、習慣化を実行しているか否かです。
毎日の習慣により1%ずつ自分を成長できたとしたら、1年後にはどれだけ成長できていると思いますか?
- 1年間、毎日1%よくなる場合:1.01の365乗=37.78
- 1年間、毎日1%悪くなる場合:0.99の365乗=0.03
答えは37倍です。
習慣化の技術を身につけることで、将来の成長が劇的に変化します。
ぜひ実践してみてください!
おすすめ本
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
やってのける~意志力を使わずに自分を動かす
参考文献
David T. Neal, Wendy Wood, and Deffrey M. Quinn, 2006,Habits—A Repeat Performance)